ヤマドリの制作記録

ヤマドリの制作過程を残っていた写真だけ紹介します。

 

毎回新しいバードカビング作品を作る際は、資料を集められるだけ集めます。

国内外のコンテストの審査基準は厳しく、作者の個性を加えながらも実物との相違をいかになくすかのバランスが重要視されているのかなと思います。

 

生体を観察できるバードウォッチングが最適ですが、なかなか行けません。

そこで、動物園や猛禽カフェ、羽根図鑑や書籍、ネットの写真、剥製などたくさんの資料を集めます。

 

今回はまず動物園に行って観察し、その後知り合いの所有する剥製を見せてもらいました。

動物園では全体のバランスと動きや存在感というか感覚的なものを見てきました。

その後剥製をスケッチしたり写真を撮らせてもらいました。スケッチといっても私の場合カービングに必要なメモ(作りや寸法や目視の色)をとるような感じです。


その後図面を書きます。

今回は台座の木を用意してあったので頭に完成図をイメージしながら台にあわせたヤマドリの大きさやポーズ、全体の構図を決めます。

 

写真がいきなり進んでしまって申し訳ないですが、もう荒削りが終わったところの写真です。

尾は差し込み後付けではなく、一木削り出しにしてあります。グラインターが入らないくらいの細い隙間はバーニングツールを使うとシャープな仕上がりになります。尾は幅も狭く折れやすいので一番最後に薄く細く加工しようと、他から手をつけているところです。

くちばしや尾の長い鳥の場合、細かい加工は後半へ回すと良いです。

 

 


彩色に入ります。模様が細かすぎて&カラフルすぎて心が折れまくりましたが塗りました。二日で3㎠しか進まなくて焦った記憶が残っています。

彩色の進め方も人によって様々だと思います。大きく分けると部位ごとに塗る、全体を同時に完成させていく、の二つに分かれます。考えなしに塗り始めてしまうのではなく、その鳥にあわせて順序をイメージしてから塗り始めることをお勧めします。

失敗するとくすんだような仕上がりになります。


また飛んでしまいますが尾の写真です。上は縞模様に当たりをつけたところです。

ここからひたすらぼかしの作業です。下の写真は3−4回重ね塗りしたところですが、仕上げまでに7回程重ね塗りした気がします。

その後小さな模様や影、羽軸や羽の割れを描きます。


いきなり完成写真です。自分では雪につけた足跡が気に入っているのですがなかなか気付いてはもらえませんので見てやって下さいませ。。

 

今回は知り合い(生徒さん)がお持ちの剥製が美しく大変参考になりましたが、カービングにおいて剥製そっくりに作ってしまうのも危険です。

よくオークションでもボロボロの剥製が格安で売っていたりしますが、剥製師の腕は様々で、造形のバランスが悪かったり材料の質が悪かったりします。色あせているものもありますので、剥製そのものの良し悪しを確認してから参考にすると良いと思います。アトリエ杉本さんのものでしたら質も出来も間違い無いと思います。

毎回生体や剥製に会えるとは限らないので、やはり図鑑など参考にすると良いでしょう。

文一総合出版さんの羽根図鑑は原寸大で参考になります。